ロドプシンについて

アントシアニンは、暗順応の機能を高める働きがある。暗順応とは、明るい場所から暗い場所に移動したときに、目が暗闇に慣れていく反応のことである。通常、急に明るい場所から暗い場所に移動したとき、しばらくは、周りの状況が見えなくなるが、時間の経過とともに見えるようになってくる。これが暗順応である。暗い場所に移動したときにしばらく見えなくなるのは、瞳孔が拡張していないためである。光が少なくなると、より多くの光を取り込もうとして瞳孔は拡張する。しかし、網膜の視細胞に光が到達するにはある程度の時間を要し、瞳孔が十分に拡張して、はじめてものが見えるようになる。

アントシアニンを摂取すると、少ない量の光であっても視細胞が反応し、瞳孔がまだ十分に拡張していない段階で、ある程度ものが見えるようになる。さらに、瞳孔が拡張すると、通常の人よりもより鮮明にものが見えるようになる。従って、アントシアニンが多く含まれる黒大豆種皮やブルーベリーなどを定常的に摂取すると、夜目が利くようになる。つまり薄暗い状況に置かれても、よくものが見えるようになってくる。

アントシアニンには、網膜にある「ロドプシン」という色素の再合成を活性化する働きがある。ロドプシンは、「黄斑部」を除いた網膜に広く分布する「視物質」である。網膜には2種類の「視細胞」がある。ひとつは、明るいところで作用して色を感知する「錐体細胞で、もうひとつは、暗いところで作用して明るさを感知する「捍体細胞」である。この僅かな明るさを感知する「捍体細胞」に存在する視物質が「ロドプシン」である。視細胞と視物質は一体となっており、ロドプシンは片目で分子として1億個以上存在する。薄暗がりの中で網膜に光が届くとその光に反応し、ロドプシンが分解する。それが電気信号となって、脳へ情報が伝達されていく。

ロドプシンの再合成について

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アントシアニンの摂取により、ロドプシンの再合成が促進される。これにより暗闇でも、ものがよく見えるようになる。ロドプシンは、分解すると再合成される。分解のみが起こった場合、ロドプシンは枯渇し、薄暗がりにおける光の感知ができなくなる。そのため、
分解されると自動的に再合成されるようになっている。この再合成の速度が、暗順応の能力に影響を与えている。アントシアニンのひとつである前述のC3Gが、ロドプシンの再合成を強く促進する働きをもっている。

ロドプシンの再合成には、「ビタミンA」も関わっている。これは、ロドプシンを構成するレチナールがビタミンAから合成されるからである。ビタミンAの不足により、ロドプシンが合成されなくなり、「夜盲症」を発症する。

以上から、ビタミンAとともにアントシアニンを摂取することにより、ロドプシンの再合成を促し、暗順応を高める効果が期待できる。